後藤健流の話file1
まさか自分があんなに憎んでいた親父と同じことをするだなんて思ってなかった。
最初はちょっとしたちょっかいのつもりだったが、どんどんハマっていってしまった。
親が親なら子も子か、と嫌な気分を紛らすために煙草を咥えた。
最初、留依は泣きながら嫌がったが、ある日ゲラゲラと笑い出した。
すぐにわかった、解離したのだと。
慎太の時も、そうだったが、どうも俺は自分と同じ苦しみを他人にも味あわせないと気が済まないらしい。
なあ、でもだってそうだろう?
俺だけこんな不幸なの、不公平だよなあ?
そんで、和さん、俺もあんたみたいに死ぬんだろうなあ?
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