桃山藤助の話file1
「消耗品だ」と教わった。
大概の奴はその気持ち悪さから吐く。
だんだんと飯も食えなくなって、
吐く時には胃酸しかでなくなる。
肩甲骨が浮き出た背中で手を震わせながら吐く姿をみて
「そろそろ終わりだ」と思う。
「消耗品だ」
その言葉が頭に残る。
ただ、夕露は違う。特別だ。
例外ではなく夕露も吐いた。
汚れた俺の服を見て、少し怯えた顔をした。
機嫌を損ねたと思ったのだろう。
でもそんなこと慣れてたしどうでもよかった。
その他と同様、仕事はしてもらう。
そして生かしておかなければいけない。
日に日に飯を食わなくなった。
留依と接触し好物を聞こうかと試したが警備がガチガチで不可能だった。
夕露は風呂に入ってる時だけ少し穏やかな表情をしたので、アイスを口に運ばせたら俺の顔を少し見ながら食べた。
その時にカラフルなグミが脳裏をよぎった。
感情が消える感覚と同時に夕露に「ごめんな」と言った。
夕露は少し泣いていた